2005年01月17日

映画『ハウルの動く城』



「千と千尋の神隠し」よりも宣伝が少なく、
「Mr.インクレディブル」に押された感のあった「ハウルの動く城」。
しかし2004年一番心に残る映画になりました。

恋愛ものという触れ込みで、パンフレットや感想なども
そういったものが多いですけれど、これはまさに「傷ついた魂の回復」の話です。

これ以降はネタバレ注意!


人を寄せ付けない荒地に「動く家」を持ち、4つの顔を使い分けるハウル。
力強い闇の顔、きらびやかな魔法の顔を持ち、美しく力もあるのに、
心を表す家の中(特に彼の部屋の中)は恐れと不安をごまかすように雑多です。
(ちょっと「片付けられない人々」を連想させます。)

光の面と闇の面、人にはそのどちらも存在しますが、
ハウルは両極端に引き裂かれています。
いちいち「顔」を変えないと、自分の様々な面に対応できないのです。

子供時代に、悪魔に心を売り渡すことになるとは知らず、
カルシファーと契約を結び、呪われたハウルは、
すばらしい魔法の力を手に入れたけれども、孤独と恐れ、
そしてひねくれた思考(カルシファーがハウルの分身として表現している)を
抱えることになってしまいました。

現在の日本では、だれもが多かれ少なかれ、子供時代に受けた
何らかの傷(愛のない家庭、いじめ、エトセトラ)を癒すため、
そうとは知らずに「呪い」をかけられてるように思います。
一定の人間関係を避けたり、ハウルのように「顔」を使い分けたり、
荒地の魔女のようにきらびやかさに固執したり。その「呪い」のせいで、
大人になった今も生きにくさを感じているように思います。

そんなハウルの心の中にまんまと入り込んでくるソフィーは、
呪いをかけられたというのに超前向き。
へこむハウル、すねるカルシファーを前にものともしません。
火が消えたら死んでしまうという皆の「思い込み」まで覆します。

ソフィーは本来の自分では外にいけないハウルが、唯一心の弱さを
吐き出せる存在になってゆきます。そしてソフィー自身も
化け物のようになったハウルを見ても恐れたり憎んだりすることなく、
ただ「助けたい」と言うのです。

ハウルの子供時代を知ったソフィーは、自分の呼びかけた声に
気づいた子供のハウルとカルシファーを見て、自分の役目は
彼らの呪いを解くことだと知ります。彼女はもう2度とおばあちゃんに
戻りません。彼女が泣きながら現在へ戻るとき、
自分はただひっそりハウルの心に住むだけの存在ではなく、
彼を救い出すことが出来る唯一の存在であると、
自身で確信しながら、歩んでるように思えました。

誰の心にもハウルがいて、ソフィーの強さと愛もある。
そしてだれもがカルシファーや荒地の魔女や、サリハンになる可能性がある。

誰もが何かしらの心の傷を持って生きている今、
実際に傷ついた人も、傷ついた経験を持つ人のそばにいる人も、
もう一度立ち上がるのに必要なものは同じで、
それによって、戦争だって終わらせることができるのかもしれない。
そんなすばらしい愛と、希望にあふれたメッセージをこの作品から感じました。

宮崎さんってホントすごい監督です。

日本テレビ『ハウルの動く城』オフィシャルサイト

-追記-

あまりに示唆に富むこの作品を、FMが勝手に分析してしまいました。
『ハウルの動く城』私的考察     
posted by FM at 11:44| 東京 ☁ | TrackBack(11) | cinema | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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