むなしいことだ。
むなしい。そう、すべては空だ。
太陽の下でどれだけ苦労を重ねたとして、
一体それが何の益になるのだろう。
ひとつの時代は過ぎ去り、次の時代が来る。
大地はいつまでも変わらない。
日は昇り、日は沈む。そして再びまた昇る。
南に吹く風は北へめぐり、風はめぐりめぐって吹き続ける。
川は海に流れこみ、海はあふれかえらない。
川は海へと流れ続ける。
すべての事は物憂い。
人ははたして語りつくせるだろうか。
いくら見ても見飽きることがなく、
いくら聞いても満たされないというのに。
昔にあったものはこれからもある。
昔起こったことはこれからも起こる。
太陽の下に、新しいものなど何一つないのだ。
「これこそ新しい!」といわれても、
実は永遠の昔からあったもの、
私たちの時代よりも前に、すでにあったものではないのか。
過ぎ去ったことは、記憶に残っていない。
これから起こることも、私たちのあとの時代には
誰も心に留めていないだろう。
私は王だった。
私は世界の仕組みをすべて知ろうと
知恵を尽くし、熱心に研究した。
神は人間にずいぶんと辛い務めを与えたものだ。
私は世の中で起こるすべてのことを分析したが、
全くむなしいことだった。それは風を追うようなものだった。
曲がっているものはまっすぐにはできない。
ないものは数えられない。
私は心に思った。
「私は史上の誰よりも知恵を増した」と。
そして私は知恵と知識を深く見極めたが、
見極めて知ったことは、
結局、知恵も知識も狂気であり愚かであるにすぎないということ。
世を見極めることさえ、風を追うようなことだということ。
知恵が多くなれば悩みも多くなる。
知識を増す者は、悲しみも増すのだ。