2005年01月19日

『ハウルの動く城』私的考察1

個人的に2004年ベストシネマだった『ハウルの動く城』。
すでにレビューは先日書いたものの、分析好きな私は
もっとこの映画を斬りたくなった!

というわけで私的考察、繰り広げます。

映画のキーワードでもある、「呪いと魔法」について。
超ネタバレです。



注)
これはあくまでFM個人の私的な考え・洞察によるものです。
ほかの見方も当然存在します。各人の考えに正しい・間違い
のレッテルを貼るつもりはありません。
イチ☆意見として、こういう見方もあるのね、くらいにお読みください。

「呪いと魔法」

宮崎ワールドでは
「魔法」は自分を守る為の間違った選択、「呪い」はその代償とし、
どちらも人を縛り付ける力を持つものとして描いているようです。

ハウルはソフィーに戸棚を触られたことで魔法がおかしくなり、
髪の色が変わってしまったとき、彼は人生が終わるくらいにへこみます。
彼は臆病で弱虫な自分を守ろうと、自分を理想の自分に変える為に
魔法を使っているのです。くるくる変わる彼の外見も、理想的な自分を
演出する為に魔法によってつくられていることも、このエピソードで判明します。

同じ魔法の使い方を、荒地の魔女もしています。
王宮でサリハンによって魔法が解かれ、本来の姿である痴呆の
おばあちゃんになる荒地の魔女ですが、本来の姿をごまかし、
美しく力ある存在でい続けるために、自分に魔法をかけているわけです。

魔法が狂ったことでハウルが受けた動揺から、
彼らは理想的な自分であることが、唯一自分の自分を守るやり方であり、
魔法によって懸命に自分を守ってると分かります。

ひねくれもののカルシファーは、ハウルの心臓(心)を手に入れるのと
引き換えに、ハウルから離れられなくなってしまいます。
寂しい心を人の心で満たそうとして、代償として暖炉から
一生離れられないという呪いを受けるのです。

ハウルは、幼少時代に見た「光」の力に魅せられ、
それを自分のものとするために、カルシファーに心臓を渡して
しまいます。自分を守る魔法の力を得る為に、「心」を代償に
したわけです。

ソフィーの呪いは複雑です。存在意義を得る為に、
代償として自分の価値のなさを明らかにしたのが、彼女の呪いです。
冒頭お祭りに誘われてもソフィーは断ります。
妹の華やかさに羨ましさを抱きつつ、自分を押し殺し、
帽子屋を継がなければという責任感を持つ彼女の姿から、
「自分は目立たなく、価値のある人間ではない」という
彼女のコンプレックスが分かります。彼女は呪いで
おばあちゃんになって、見た目も「価値のない」存在になります。
「価値がないという存在意義」を得るわけです。

魔法と呪いのテーマは何度も宮崎作品に表れており、
「紅の豚」「千と千尋の神隠し」にも出てきます。
「紅の豚」のポルコは、重なる戦争で友をなくした悲しみから
心を守る為に豚になり、人間社会から背を向け、あえて孤独を選んでいます。
「千と千尋・・・」のハクは、住んでいた川が埋め立てられ
行き場がなくし、魔法の力で自分を強くしようとします。
そして代償として湯婆に縛られてしまうのです。


思うに・・・

魔法にかかり、呪いを受けた日本人があふれていると思います。
ハウルのように幼い頃、そうとは知らずに間違った自己防衛法を身につけ、
その代償として心を縛られている人は多いはずです。

様々な問題を家庭や近くの人間関係で抱え、本来得るべきところから
愛を得られないで育ってきた人々は、自分の心の痛みや苦しみを
自分なりに処理しなければなりません。心を守る術が必要なのです。
彼らは痛みの処理のために「魔法」を必要とし、それはゆがんだ認識や、
いびつな人間関係、偏ったこだわりなどの「呪い」と引き換えになるのです。

自分を守らないと、世の中は傷つくことばかりです。
ほんの小さな頃から行き場をなくし愛を失い、心を荒地にさまよわせる人々が
呪いを受けつつ魔法に頼ったとしても、それは責められないことです。
彼らには、そうするしか自分を守れるものがなかっただろうから。

しかし宮崎ワールドでは、魔法は本当に自分を守るものではなく、
魔法も呪いも解けるものだとしています。
そのあたりは次回、 私的考察2「呪いと魔法の解けるとき」 で触れたいと思います。


関連ページ
『ハウルの動く城』レビュー
ハウルの動く城』私的考察1
『ハウルの動く城』私的考察2
『ハウルの動く城』私的考察3
『ハウルの動く城』私的考察4
『ハウルの動く城』私的考察5
posted by FM at 14:35| 東京 ☁ | TrackBack(4) | Howl's Moving Castle | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック

「ハウルの動く城」
Excerpt: 今さら・・・いやいや200億稼ぐには公開二ヶ月でも全快で・・・ というわけで、時間があったので見てきちゃいました。 平日20:10からのレイトショウなので1200円。 350名収容のスクリーンにスキス..
Weblog: ひらりん的映画ブログ
Tracked: 2005-01-19 23:24

ハウルの動く城
Excerpt: 観終わったあとの感想は「よくわからん・・・」だった。 登場人物同士の関係とか、作品の舞台となっている世界とか、中途半端な描かれ方だったと思う。 これは詰まるところ、脚本がよくなかった、脚本が映画をダメ..
Weblog: 多感な奴
Tracked: 2005-01-20 19:23

★★2度目の「ハウルの動く城」鑑賞★★
Excerpt: 実は日曜に「はたらく自動車大集合」に行ったあと私だけ2度目の「ハウル」に行ってきました♪ 超ハードスケジュールですがシネコンの回数券が2月末の有効期限だったので。。。 寝ちゃうかなぁとも思ったので..
Weblog: ★★かずくんままのマネー&育児日記+α(モブログチャレンジ中)★★
Tracked: 2005-03-02 23:03

ハウルの動く城
Excerpt: 観始めてすぐにその不思議な世界にグッと引き込まれました。 ソフィーとハウルの恋愛を中心に描いた作品で、とても多くのメッセージが込められています。 特に感じたものは、守るべき人を持つという事です。 ハウ..
Weblog: シアフレ.blog
Tracked: 2005-09-30 21:03
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。