2005年02月15日

『ハウルの動く城』私的考察7

この私的考察で以前、「城=ハウルの心」と考察しました。
(詳しくは私的考察3を見てね。)
またカルシファー=ハウルの原動力とし、自己否定感と
代償の要求によって、ハウルが行動を起こしていると定義しました。
私的考察4参照)

今回は、ハウルのキャラクターを考察してみます。
ハウルはとても男らしい男といえるのではないでしょうか。

超ネタバレです。


注)
これはあくまでFM個人の私的な考え・洞察によるものです。
ほかの見方も当然存在します。各人の考えに正しい・間違い
のレッテルを貼るつもりはありません。
イチ☆意見として、こういう見方もあるのね、くらいにお読みください。
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「ザ☆日本男児 ハウル」

ストーリー中、
「男なんて、しょうがないものだけどね。でもかわいいからね。」
という荒地の魔女の名台詞があります。
「男性は常にヒーローである必要がある」
とは、男女の違いから結婚をカウンセリングする
石井希尚さんの言葉ですが、(「この人と結婚していいの?」参照)
まさにハウルは自分はヒーローでなくてはならないと思っている男性です。

常に自分はクールで力がある、と自分自身に言い聞かせ、
守りたいものの危機には、たとえ自分の精神だって投げ出せるくらい
恐れを知らない男であろうとします。しかし、本当に心を
投げ出してしまうとき、空虚な自分だけが残ってしまうのです。
女性的な目から見ると、なんだかちょっとズレてる。
でもそこが愛しい。
この映画がやたらと女性ファンが多いのも、そういう理由もあるのでしょう。

ハウルは、いかにもクールにソフィーの前に登場します。
男性の多くは、気になる女性の前で誰よりも素敵で
力ある存在でいようと最大の努力をするでしょうが、彼もそうです。
しかし城に転がり込んだソフィーは、ハウルが意図しない方法で、
彼の内面を変えてゆきます。外見を保つことは本来の自分の弱さを隠す
策ですが、その仮面がソフィーの戸棚掃除で崩れ去ります。
ハウルにとっては、一番見せたくない相手(ソフィー)に
一番見せたくない姿(弱さ)をみられてしまう訳ですが、
ソフィーは彼から離れません。

ソフィーがどんなに最低な自分を見ても離れないと知ったハウルは、
ソフィーを王宮へ行かせます。これは彼女を、絶対的に自分を
守ってくれる母親のように見ています。甘えによって、相手の愛を
試しているのかもしれません。ソフィーがこの役目を承諾することで、
ハウルはサリハンの前に立つ勇気を持ちます。

ハウルはこの後突然引越しをします。荒地をさまよう孤独な城から
ソフィーの家へ移り、扉も魔法使いの扉から、自分の幼少風景へ続く扉
へと変化します。つまり彼の心象風景が変化したわけです。
ソフィーに幼少時代の小屋を見せるとき、彼は守るものが出来た
自分に満足しています。しかしソフィーはそうではありません。
ハウルの心が自分を守る為に壊れるかもしれないことを、
彼女は徐々に理解します。

ハウルは欲しいものを手に入れるためには代償を必要とされてきました。
そんな彼の思考では、彼女を守るために自分の精神を
投げ出さなければならないと考えるのは当然のことです。
そしてその通り、ハウルは戦いで心をうつろにさせてしまいます。
ソフィーが再会するハウルの目は何も見ていません。

なにかを守るために自分の心を投げ出す行為は、
愛を代償行為と見ています。それは本当の愛ではありません。
愛し、守ることは、本来は犠牲がなくても成り立つことなのです。

ソフィーは心をなくしたハウルさえ愛します。彼女はハウルを守る為に
自分の心をただの一度もなくしません。ただ、彼に心は戻ると信じ、
自分に与えられた役目を果たそうとします。
そしてそれこそが、無償の愛であり、ハウルを本来の姿へと戻すのです。

思うに・・・

「この民間療法をやれば、がんが治ります」
「このつぼを買えば、一家は繁盛します」
「この占いを信じれば…」
「この夢がかなえば…」
「この暴力に耐えれば…」
あなたの心を代償にしようとする、有償の愛は、
世の中でいくつも見つけることが出来ます。

しかし、最悪へと向かってゆく状況を前に、とにかく信じ、
いつかは自分が相手の心を取り戻してみせると強く確信する、
そういう無償の愛はなかなか見えません。本当の愛は見えないからです。
特に男性は競争社会の只中で生活をしていますから、
女性よりも無償の愛の存在に気づき難いのかもしれません。

あなたが何も与えなくても、何もがんばらなくても
それでも愛を与えてくれる存在は、必ずあります。
みんなに自分だけのソフィーが見つかるといいな、と思います。

関連ページ
『ハウルの動く城』レビュー
ハウルの動く城』私的考察1
『ハウルの動く城』私的考察2
『ハウルの動く城』私的考察3
『ハウルの動く城』私的考察4
『ハウルの動く城』私的考察5
『ハウルの動く城』私的考察6

posted by FM at 13:53| 東京 ☀ | TrackBack(0) | Howl's Moving Castle | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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